法的安定性

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磯崎首相補佐官の発言で、にわかに広く知られるようになった「法的安定性」の意味を考えれば、なぜ、安倍首相が、磯崎補佐官を更迭できないのかわかります。
「法的安定」と反対の意味を持つ言葉の例としては「朝令暮改」があります。
朝出した命令が、夕方(暮)には変更されるという、まさに極端な法的不安定を指す言葉が朝令暮改です。
朝令暮改の典型的なものは、専制政治、独裁政治です。「朕は国家なり」という専制君主、独裁者が、その気分の赴くまま、勝手気ままに「命令」を出し、「命令」を変更する。国民・人民は、何が規範かもわからず、権力者の恣意に右往左往させられることになります。それが朝令暮改です。

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見られるとおり、「法的安定が無い社会」と、「国民の基本的人権が無い社会」とはメダルの表裏のような関係にあります。
こうした専制君主・独裁者の恣意を排除し、国民の基本的人権をしっかりした土台の上に据える。それが、人権宣言としての憲法の制定です。立憲主義の根幹にあるのは法的安定性の確保なのです。法的安定性の確保は、法律だけでは実現できません。なぜなら、法律は、その時々の政権(国会の多数派勢力)の主導の下に制定されるものですから、選挙によって政権(国会の多数派勢力)が変わる都度、その下に制定される法律が、その政権の恣意にまかされてしまったのでは、そこには法的安定性は存在しえないからです。
ですから、法的安定性とは、例え、政権がどのように変わっても、その下での法律の制定は、あくまでも、根本法である憲法の枠内になければならず、法律の解釈も憲法の諸規定に沿って行われなければならないということを意味するということができます。日本国憲法が最高裁判所に違憲立法審査権を付与しているのは、このためにほかなりません。
このように考えれば、法的安定性を支える最も重要な柱・核心は、憲法であることを理解できると思います。

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安倍政権の現在のふるまいは、この法的安定性の根幹である憲法の確立した解釈を、恣意的に変更することによって、憲法そのものから、制定されようとしている法律に対する規範性を奪い、そうすることによって、自分たちが望むならどんな法律でも制定できるという専制的・独裁的なふるまいにほかなりません。
安倍政権の現在のふるまい全体が、「法的安定性など関係ない」という立場に立っているものなのです。
ですから、戦争法案を通すために、国立競技場問題の白紙撤回のように、磯崎補佐官の更迭要求を受け入れるわけにはいかないのです。
それをしてしまうと、「首相、あなたは磯崎補佐官が法的安定性を無視・軽視する発言をしたことで磯崎補佐官を更迭しましたね。それでは、憲法の確立した解釈、現在の憲法学者の9割が支持する解釈を、一内閣の独断で変更することこそ、法的安定性を無視・軽視するものだから、あなたこそ、率先して辞任すべきではないか。それともあなたは、磯崎補佐官が法的安定性を軽視・無視するのは許されないが、首相であるあなたが法的安定性を軽視・無視してもよいとでも言うのですか。それこそ、”私は何をしても許されるのだ”という独善であり独裁ではないですか」という批判に応える論拠を失いかねないからなのです。

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