じじとばばの会話ー合区解消

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じじ:なんだろね。この2人の討論。日本の政治家として、いま何よりも考える必要がある課題は、日本中に広がる地震・台風・集中豪雨・原発などによる被災地とそこに住む人々の復興、かってない規模に広がってしまった国民各層の格差の是正、福島を繰り返さないためのエネルギー政策の抜本的改革、行政の透明性と公正性の回復、国会の機能回復、平和外交の再構築、破綻に瀕した国家財政の再建と健全化など、いずれも、国民の生活に直結する問題ではないかと思うのだけど、そうした問題を何一つ正面から取り上げていないよね。
ばば:そうね。2人とも、国民の生活をどうしたいのか、どうするつもりなのかということについて、抽象的なことを言うだけで、具体的なことは何もいってないわね。
じじ:安倍首相お気に入りの稲田朋美議員は、かって「国民の生活が第一なんていう政治は間違っている」と講演の中で言い放ったことがあるけど、今の自民党にとっては、国民の生活は、二の次、三の次なんだろうね。
ばば:それはそうと、この討論で石破さんは、9条より合区解消を急ぐべきだと言ったと報じられているけど、石破さんの言う合区解消って、この前自民党の改憲案として4つほどあがった中の一つに合区解消のための憲法改正案としてあげられていたあれと同じものなの?それとも、それとは違うものなの?
じじ:どうなんだろう?新聞ではそのあたりのことは詳しく報道していないから、よくわからないけど、石破さんのブログを見ると、ここで言っているのは、憲法を改正して合区を解消するということではなさそうだよ。
ばば:そうなの?それはそれとして、私よくわからないんだけど、この前、国会で参議院の定数を6つ増やす法律ができたじゃない?新聞なんかでは、これは、合区で議員になれなくなった人の救済策だって書いてたけど、それと、今回の自民党改憲案の合区解消とどういう関係にあるのかしら。
じじ:悪い、どういう関係にあるかって、質問の意味が良くわからない。
ばば:そもそも、法律でこういうことができるなら、なにも憲法を変える必要なんて無いんじゃないかって思うのよ。
じじ:ああ、そういうことね。合区を解消するっていうことだけなら、もっと簡単に、合区を決めた公職選挙法を改正して、元に戻せばいいじゃないのか、それなのに、合区解消のためには、法律ではなく、憲法を変えなければならないというのは、何故なのかということだね。
ばば:そうなのよ、その肝心な点については、自民党は何も説明していないよね。
じじ:説明しないのは、この肝心の部分を説明したらまずいからなんだよ。
ばば:えっ、どういうこと?
じじ:法律で合区を解消するには、公職選挙法を改正して、鳥取全県区、島根全県区、徳島全県区、高知全県区を復活させることになるよね。
ばば:そうね。
じじ:すると、それと同時に、最高裁が違憲状態とか違憲と判断した1票の格差も復活してしまうことになって、また最高裁から、違憲とか違憲状態の判決が出されてしまうよね。
ばば:たしかに。
じじ:ところで、最高裁がそういう判決を出す根拠にしてるのは何かわかるかい?
ばば:投票権の平等原則…かな。
じじ:その原則の根拠は?
ばば:憲法よね。
じじ:そう。憲法14条の平等原則だよね。
だから、これがある限り、いくら法律で合区解消しても、最高裁が違憲判決を出すことを止めることは出来ないんだよ。
じゃあ、最高裁が憲法14条を根拠に判断するのをやめさせるにはどうしたらいい?
ばば:わかった!憲法14条を無くしちゃえばいいんだ。
じじ:おい、おい。恐ろしいこというなよ。確かにそうだけど、さすがに国民の平等原則を定めた14条を無くしちゃうことは無理だよね。この条文を無くさないで、しかも、最高裁が選挙の有効性を判断するときに、この条文を根拠にすることができないようにするにはどうしたらいい?
ばば:うーん。 あっ、そうか。14条の例外をつくっちゃえばいいんだ。
じじ:大正解!
まさに、この改憲案はそれなんだよ。改憲案の47条1項にはこう書いてある。「両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部または一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも1人を選挙すべきものとすることができる。」って。
ばば:なんか…ちょっと…むずかしい。
じじ:なおみちゃんか?
と、冗談はさておき、確かに難しいよね。まあ、一般の国民によくわからないようにわざと難しくしているということもあるしね。
かみくだいて言うと、一つ目は、衆参両議院の選挙区割や定数は、人口だけでなく「行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して」決めて良いということ、二つ目は、参議院の都道府県単位の選挙区では、改選毎の定数を各選挙区最低1人以上としなければならないということ、この2つを憲法の条文に盛り込もうということなんだよ。
ばば:するとどうなるの?
じじ:わからない?ばばのいう「例外」を作ったことになるんだよ。選挙権も被選挙権も人口に比例して国民みんなが平等に持つ必要があるという原則が、この改正47条1項で否定されてしまうんだよ。
ばば:どうして?
じじ:だって、そうだろ、選挙区割や議員定数の定めが、平等ではなくても、それは「行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して」決めた結果だと言えば、憲法違反の批判は出来なくなるし、参議院については、鳥取、島根、徳島、高知などの全県区を復活させるのは、この憲法条文がそうしろと言っているからだということになるよね。
すると、その結果、例えば、島根の一票の価値と千葉の一票の価値の差が4:1になっていても、憲法違反ではないことになる。
でも、これって、本当に重大なことだよね。選挙権、被選挙権というのは、国民主権を支えるために国民が政治に参加するための重要な権利だよね。その重要な権利が平等でなくても良いということを憲法にもりこんじゃえということなんだから。
ばば:ひどい!だったら、そう言えばいいじゃないの。
「私たち自民党は、選挙については憲法14条の平等原則を外して、例外を作って選挙権は平等じゃなくても良いことにします。それがこの改憲案です」って。
じじ:だよな。それが正直ってものだよな。
でも、絶対にそんなことは言わないだろうね。正直にそんなこと言ってしまったら、改憲案に賛成する人なんてほとんどいなくなっちゃうからね。
ばば:汚いわね。それにしても、マスコミもどうして、その一番大事なポイントを報道しないのかしら。
じじ:マスコミもだまされちゃってるのか、それともわかってても政権に忖度して黙っているのかのどちらかだろうね。まあ、後者だと思うけどね。

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