嘘とごまかしオンパレード。本筋を見失わないで

前回の記事をアップしてから、今日までの間に、与党協議が終わり、閣議決定があり、国会審議が始まっているというのに、沈黙していることで、どうしたのかと言う声が聞こえてきました。なにせ法案が大量で、しかも、わざとだろうが、複雑なため、これをわかりやすく解き明かすには少し時間を頂きたいところです。というわけで、個々の法案についての指摘は、次回以降に少しずつやっていくこととして、今日は現在進んでいる国会審議での野党各党とそれを報じるマスコミが、陥っている「罠」についてだけ指摘しておくこととしたい。

現在国会で審議している法案は、昨年7月1日の「集団的自衛権容認の閣議決定」を前提に、それを法律に具体化するものです。そして「集団的自衛権容認の閣議決定」は、自民党と公明党が、閣議決定という形で、勝手に憲法の解釈を根本から変更したものです。そんな重要な閣議決定でありながら、集団的自衛権が憲法上許されるのかどうかということについて、閣議決定後、国会で正面から議論されることはありませんでした。

従って、安全保障法制についての国会審議では、先ず最初に、個々の法案についての議論に入る前に、これらの法案の前提となり、また土台となっている集団的自衛権行使を容認することは違憲であるという根本問題についての正面からの議論が必要なはずです。

「この法律のこの条文は、制限が十分なのか、十分ではないのか」「この条文は、どこまでのことを視野に入れているのか」と言った議論は、既にして、相手の設定した土俵に乗せられてしまっているのではないか。どんな制限をつけようと、集団的自衛権の行使を認めるという根本がある限り、それは違憲であり認められないものなのに、制限が十分であれば、認めても良いということになりかねない。

本筋を見失っていないのは、むしろ政権側だ。「集団的自衛権の行使を認める法律さえ通してしまえば、あとはいかようにもなる」。それが本筋なのだ。だから、「制限」「限定」については、平然と嘘をならべ、どんな限定や制限も認めるようなことを言うのだ。あのニヤニヤ笑いの背後にあるのは、正にそういうことなのだ。20150504_134306